「対馬学フォーラム」成果報告

現代心理学部映像身体学科3年次 祢津 遼平さん

2024/04/05

立教生のキャンパスライフ

OVERVIEW

2024年3月17日(日)第8回「対馬学フォーラム」が長崎県対馬市交流センターにて開催されました。当日は島内外より200名を超える方々が来場し、研究・実践活動の報告や情報交換・交流が行なわれました。かねてより海洋プラスチック問題の解決に向けて取り組んできた祢津遼平さん(現代心理学部映像身体学科3年次)がイベント参加への経緯を含め当日の様子を報告します。

ドキュメンタリー撮影(3月) 綺麗な海と海洋漂着ごみ

ドキュメンタリー現状撮影(3月)

フォーラム参加への経緯

トークセッションにパネリストとして参加した祢津 遼平さん(スクリーン左)

長崎県対馬市では大量の海洋漂着ごみが問題となっています。中でも海洋プラスチックは紫外線や波によってマイクロプラスチックになってしまい、さらに回収が困難になります。河村賢治法学部教授がコーディネーターを務め、全学共通科目で開講した「SDGs×AI×経済×法」の授業をきっかけに映像身体学科の有志の学生が集まり、学園祭の出展に向けて展示・映像制作を行いました。

学園祭での出展

池袋キャンパス学園祭 SPF(セントポールズ・フェスティバル)当日の様子

SPFで上映した映像 【立教大学×対馬】コラボレーション企画
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(1:00)対馬の現状についてより多くの方々に知っていただくことを目的として、立教大学現代心理学部映像身体学科の学生を中心に作成した映像の一部です。

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(3:43)対馬の現状についてより多くの方々に知っていただくことを目的として、立教大学現代心理学部映像身体学科の学生を中心に作成した映像の一部です。本番投影時には2画面でプロジェクションマッピングのように投影しました。

私の在籍する映像身体学科には撮影や編集が得意な人がたくさんいます。対馬市が直面する海洋漂着ごみ問題に寄与できる私たちの活動として、現地の写真や映像を消費活動の著しい都心部で発信し、行動変容の小さな「きっかけ」を一つ一つ作ることではないかと考えました。対馬市役所SDGs推進課に勤務されている前田剛さん(2006年立教大学院観光学研究科博士課程前期課程修了)からデータを送っていただき、都内で編集して学園祭に出展しました。生命理学科卒業生の今野夏季さんともコラボさせていただき、キャンドル制作を通して問題を身近に捉えてもらうことを目的としたワークショップも開催しました。一連の活動は来場者も多く、新聞にも取り上げていただくなど大きな反響がありました。単に綺麗な動画を作ったり、自分たちが楽しいだけで終わってしまったりしないようにと同級生や先輩たちと頭を抱えながら制作したのは今ではとても大切な思い出です。ですが、実際に対馬市に行ってその場でゴミの大きさや回収作業を体感することが必要ではないかとメンバー内で話し合い、『「きっかけ」を創り出す』コンテンツ制作・発信を目的に掲げたサークル、Bilder.(ビルダー)を創設し、2023年3月と8月に対馬市を訪問して撮影から編集までメンバーで一貫してドキュメンタリー制作を行いました。制作した作品はドキュメンタリー映画祭で佳作に選ばれました。
ドキュメンタリー制作〈第3回石垣島湘南国際ドキュメンタリー映画祭出品作品〉
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タイトル:「海ごみの漂着 対馬から世界へ」(11:57)
監督:祢津遼平

長崎県対馬市には年間約2〜3万m³の海洋プラスチックゴミが流れてくる。この島にとって、海が汚れていくことは島民の明日を左右する。​局面を打開しようとする島民に焦点をあてる。

現状撮影(3月)

対馬市SDGs推進課の前田剛さん取材撮影(8月)

宿舎にて(8月)

短編国内学生A部門:佳作賞状

フォーラム参加の感想

「対馬学フォーラム」で発表したポスター:「環境問題と映像制作」

市に関する研究報告会である「対馬学フォーラム」では、私たちの取り組みを「環境問題と映像制作」としてポスター発表しました。また、トークセッション「学生が挑む〜対馬の海洋漂着ごみ問題への取り組み〜」にもパネリストとして出席し、自らの将来の方向性を見定めるために挑戦してみる大切さと、今自分ができることを使ってどのように社会に還元できるかという点でお話しさせていただきました。トークセッションではドキュメンタリー映画祭で佳作に選ばれた作品の上映会も行われ、同作品内には前田剛さんも出演しています※1。トークセッションには高校3年生の方もいらっしゃったりと様々な世代から刺激を受ける機会になりました。対馬市は海洋漂着ごみ問題だけではなく、少子高齢化や動植物の保護など多くの課題、問題に悩まされている地域ではありますが、参加者の皆さんはそれぞれの手法や考えで各分野に着手しており、またそれを歓迎する場でもありました。できることや得意なことは人それぞれなので、手法や考えが違うことが何より面白く、異分野であるのにもかかわらず予期しなかった共通点や同じような悩みが他の参加者の皆さんにもありました。会場には全国から沢山の大学生も来ており、各々の活動の情報交換の場ともなりました。

※1 上映会での対馬市SDGs推進課の前田剛さん出演シーン

ポスター発表当日の様子

今後の展望

私は大学に入学した直後は「自分は社会に出たらどんなことができるのだろう」「今やっていることは将来役に立つのだろうか」といったような悩みばかりが漠然とありました。ですが大学はその悩みにしっかり向き合う時間や講義が用意されていることに加え、挑戦できる場も沢山用意されている場所だと感じています。一年生の学園祭に出展した際、来場者の方が映像を観て息を呑んで対馬市の現状に驚かれており、趣味として没頭していた映像制作が社会と結びついたと感じるような経験をしました。この時に感じた思いを忘れず、これから先も自分なりの方法で「きっかけ」を創り出していき、社会に貢献できる人材になれるよう努力して参ります。

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