「豊島こども大学」学生レポート 2022年度

文学部教育学科4年次 高野 桂帆さん、文学部キリスト教学科2年次 髙橋 大地さん

2023/03/24

立教生のキャンパスライフ

OVERVIEW

2007年からスタートした「豊島こども大学」は豊島区との共同事業です。「豊島区を知る、創る、楽しむ」を目的に地域と大学が連携、学生主導でプログラムの運営に取り組んでいます。16回目を数えた2022年度は「地域貢献」「学びの機会」「インクルーシブ」を新たな軸に据え、多くの子どもたちが参加できるプログラムとして全7回を構成、8月から12月にかけてプログラムを実施しました。運営に携わった2名の学生によるレポートで振り返ります。

文学部教育学科4年次 高野 桂帆

豊島こども大学は豊島区内の小学校に通う小学3年生〜6年生を対象に「豊島区を知る・創る・楽しむ」をテーマにしたイベントを実施しています。しかし、新型コロナウイルスが流行し、豊島こども大学の活動は変わらざるを得ませんでした。2020年度は自分たちの大学生活もままならないまま今までの活動がほぼ一切出来ず、2021年度は大学の授業の見よう見まねでzoomを使用し、オンラインでの開校式の開催を決定しました。そこから少しずつオンラインと対面を織り交ぜながら子どもたちと交流してきました。

2020年度でそれまでの活動の流れが完全に途絶え、漠然とした不安を感じたことを今でも覚えています。しかし、当時はその不安がどこから来るものなのかまだわかっていませんでした。
そして私がこの団体の部長になった2022年度にようやくその「漠然とした不安」の正体が明らかになりました。
それは完全に対面で活動を実施した世代が私たち4年生しかいないということでした。しかも当時を知っていると言っても、対面での活動を経験した期間は私たちがまだ1年生の時です。先輩に言われるがままやることをこなすことに精一杯だった私たちが知っていることはごく限られていました。
だんだんと活動の規制が緩くなってきた2022年度でこれまでの活動を途絶えさせたくはない。しかし、全て今まで通り、とは私たち4年生の記憶を頼ったとしても、さらに新型コロナウイルス対策の面から考えても、出来ないということが私の漠然と抱えていた不安の正体だったのです。

トキワ荘に住むキャラクターを作成

私たちはこれからの豊島こども大学について話し合いました。4年生同士だけでなく、学生スタッフ含め豊島こども大学に代々関わってくださっている学部事務の方や文学部長、豊島区役所の方々と話し合い、豊島こども大学の活動内容を一新することに決めました。
そして2022年度の豊島こども大学は新たな試みとしてそれまでの理念である「豊島区を知る・創る・楽しむ」に加えて「SDGs」を意識することにしました。さらにこれまで座学が多かった活動も体を動かし、感覚的にSDGsや豊島区のことを理解したり学んだりできるようなイベントを一から考え直しました。それらのイベントは大学内のみに留まらず、トキワ荘マンガミュージアムや芸術劇場に携わっている方々、豊島区立中央図書館の方やALSOKの方々、豊島区役所の皆様などたくさんの方々に協力いただき、子どもたちは大学生だけでなく、より広い世界の大人と関わるきっかけになったと思います。
もちろん変えなかった部分もあります。その一つが開校式です。大学内のチャペルで行う開校式は豊島こども大学でしか体験できない、豊島こども大学を代表するイベントの一つであると考えて残すことにしました。

2019年度から2022年度まで豊島こども大学に携わり、最後は部長まで務めさせていただきましたが、本当に貴重な体験をさせてもらえました。これからも豊島こども大学が子どもたちにとってはもちろん、我々大学生にも何か学びや気づきを得られる団体として長く続いてほしいと思います。

文学部キリスト教学科2年次 髙橋 大地

豊島こども大学はこれまで10年以上の長きにわたって、学生や教職員そしてほかでもない豊島区の地域の皆さんの手によって支えられてきました。豊島こども大学の運営に私は今年度から初めて参加しました。今年度はパラスポーツ体験やトキワ荘見学、伝統文化体験などを行いましたが、こども大学生と活動していて驚いたことが多々ありました。それはこども大学生たちの柔軟さです。

パラスポーツ体験の企画では、元パラリンピック選手で立教大学の卒業生でもある若杉遥さんを講師にお迎えし、ゴールボール体験をしました。目隠しで視覚を制限して音でボールを認識するという、こどもたちにとって新しい体験でしたが、丁寧な解説からすぐに感覚をつかんでいました。最後は班同士で試合を行い競い合いながらもとても楽しそうな様子でした。

豊島区立中央図書館にて点字を打つ体験

パラリンピアンの持つ技術に触れた子供たちはその後、点字企画で視覚障害を持つ方々の生活やコミュニケーションについて考えました。点字の構成や打点のしかた、日常生活の中にある点字について学んでいました。点字を教えて下さった豊島中央図書館の職員さんから、「点字があっても把握できる情報が十分でない場合がある」という生活上の困りごとを聞いたこども大学生たち。感想を述べるときには「商品に点字を載せるときには、名前だけでなく味などの情報も載せればいいと思いました」などと他者の視点に立ち、その気持ちに寄り添った意見を発信していました。

東京芸術劇場の展示作品の見学

同時に私ども大学生メンバーにとっても、こども大学生と共に学びを得る場面が多くありました。東京芸術劇場見学では、職員の方の解説に沿って館内の芸術品を鑑賞しました。普段目にするアニメなどとは性格が異なる芸術に触れる機会でしたが、作品に込められた想いを知ったこども大学生たちはしげしげと見入っている様子でした。立教大学のすぐそばにあり、入学式など利用させていただく機会もある芸術劇場。その館内に施されている多様な工夫を知り、大学生一同も大変興味深く感じる経験となりました。

各国の伝統料理について学ぶ

こどもたちが持つ社会性や想像力も垣間見ることができました。トキワ荘マンガミュージアムと休憩処を見学した際には、慣れないメンバーも多い中協力して、電車移動と街歩きができました。見学中にはこども大学生同士で好きなマンガ家について話をしたり、見学後も短い時間の間に自分たちの意見をまとめ上げキャラクターを考えたりしていました。同じく伝統文化体験でも、伝統料理からオリジナルのかるたを瞬時に考案していました。
学年や学校も異なるメンバーでしたが、大学生としても脱帽の団結力と発想力を発揮していました。

このように活動の所々で見ることができたこどもたちの柔軟性が多くありました。そうした既有のものに加えて、新しい視点や知識、経験を提供することでこどもたちが将来一層活躍できると強く感じられました。こどもたちにとって豊島こども大学がそうした場であれたなら、学生メンバーとして嬉しく思っています。参加してくれたこども大学生の皆さん、企画に協力してくださった豊島区役所ならびに地域の皆様、本当にありがとうございました。

CATEGORY

このカテゴリの他の記事を見る

立教生のキャンパスライフ

2024/11/27

「大学生と埼玉県議会議員との意見交換会」開催レポート

コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。